2016年7月22日

2030 年の自動車社会を見据えた「広島モデル」の構築

〜「ひろしま自動車産学官連携推進会議」の1年間の活動を振り返って〜

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『2030年産学官連携ビジョン』を達成するために、県内の自動車に関わる産学官のメンバーが一堂に会して、7月1日(金)に「ひろしま自動車産学官連携推進会議」(*1)の代表者会議を開催しました。当日は、昨年6月の設立以降の活動について報告するとともに、地場企業や大学と連携して内燃機関における独創的な技術や自動車産業を支える人財を生み出すための広島ユニークな取り組みを、今後どう進めていくかなど、白熱した議論をしました。

『2030年産学官連携ビジョン』

  • 広島を、自動車に関する独創的技術と文化を追い求める人々が集まり、世界を驚かせる技術と文化が持続的に生み出される聖地にする。
  • 産業・行政・教育が一体になり、イノベーションを起こす人財をあらゆる世代で育成することにより、ものづくりを通じて地域が幸せになる。
  • 広島ならではの産学官連携モデルが日本における「地方創生」のリードモデルとなり世界のベンチマークとなる。

1. 活動経過

広島地域の自動車産業の発展に向け、『2030年産学官連携ビジョン』の実現を目的に設置した当会議に おいて、「イノベーション人財育成委員会」、「地場サプライヤ活性化委員会」、「運営企画委員会」の3つの委員会と「内燃機関 専門部会」、「モデルベース開発専門部会」、「感性専門部会」、「エネルギー専門部会」の4つの専門部会を設置し、①2030年のありたい姿、②2020年の目標、③施策、④ロードマップをそれぞれ策定するとともに、具体化に向けた活動を開始しました。本会議に参加する団体は、当初は6団体でしたが、現在では28団体まで拡大し、着実な進展を実現した1年間と言えます。

2. 主要な成果事例

■内燃機関専門部会

2030年においても自動車社会の主流は内燃機関であり続けると主要研究機関が予測しています。当専門部会では継続的に内燃機関の革新に取り組んでいます。昨年、広島大学-マツダで共同研究講座を立ち上げ、内燃機関において最も重要な燃焼をより深く研究する体制を強化しました。今後、この成果を元に、世界一の内燃機関を生み出すことを目指して、地場サプライヤや大学との連携をさらに強化するとともに、研究対象の拡大を図っていきます。

■モデルベース開発専門部会

IoTやIndustry4.0など、デジタル技術を活用した技術革新が世界に広がる中で、モデルベース開発(*2)は、日本のものづくりが生き残るための切り札とも言える重要技術です。また、世界に先駆けて、広島でこの技術を確立するためにロードマップを策定しました。本年度は、その第一歩として地域企業のモデルベース開発力の基盤強化を目的に、広島大学に「モデルベース開発基礎講座」を開設します。この講座では、広島大学、福山大学、山口大学の8名の講師陣により、今後数年間を掛けて自動車以外も含め、地域企業に実践的な教育とエンジニア育成を行います。

■地場サプライヤ活性化委員会

自動車産業は裾野が広く、まさに「地方創生」を左右する業種です。そして、その「地方創生」には自動車関連サプライヤの活性化が不可欠です。このため、(公財)ひろしま産業振興機構(以下ひろしま産振構)がリーダーとなり地場サプライヤ19社を巻き込んで様々な活動をしてきました。中でも、新しい取り組みとして、サプライヤ数社が振動・騒音技術領域において、共同して研究開発・共創活動を行う「新技術トライアル・ラボ」を開設しました。これは、従来型のシーズ・ニーズのマッチングスタイルに加え、サプライヤが協働して、独自に新しい技術開発に取り組むプロセスを導入したものです。今後は他の技術領域にも拡大していきます。また、技術力向上を目指し、「自動車工学基礎講座」のようなサプライヤ要望の強い研修や研究会を開催して参ります。

■イノベーション人財育成委員会

近年、若者世代において、ものづくりや理工系への興味が薄れていく中で、“あらゆる世代で自由で、常識にとらわれない発想”ができ、イノベーションを起こすことができる人財を育成していきます。具体的には、マツダにおける   インターンシッププログラムの充実及び、受入枠の倍増と共に、ひろしま産振構による地場サプライヤ向けにものづくり人財を育成する場を提供する取り組み(イノベーションインストラクター育成塾)を開始しています。

3. 今後の計画

各委員会・専門部会の活動を継続するとともに、必要に応じて新しい委員会・専門部会の追加と活動範囲の拡大を模索し、テーマによっては、他業種や他地域との連携も視野に入れた展開を図っていきます。

4. 参考

(*1)ひろしま自動車産学官連携推進会議の概要

■略称:ひろ自連
■設置時期:平成27年6月11日(木)
■目的:広島地域の自動車産業を活性化するための旗印として掲げた「2030年産学官連携ビジョン」の着実な実現を図る。
■常任団体:ひろしま産振構、マツダ株式会社、国立大学法人広島大学、
中国経済産業局、広島県、広島市
■事 務 局:ひろしま産振構、マツダ株式会社及び国立大学法人広島大学に置く。
■運営体制:次ページに示す。

(*2)モデルベース開発(MBD)

商品の機能や性能、あるいは顧客や商品を取り巻く環境などを数理モデルで表現し、計算機によるシミュレーションを徹底的に行うことで、技術のブレークスルーを達成し新しい商品価値を生み出す技術。

 

【本件に関するお問い合わせ先】 
ひろしま自動車産学官連携推進会議 事務局 
事務局長 武田 克己 
マツダ株式会社 R&D技術管理本部
TEL:082-565-0426  
E-mail:takeda.k@mazda.co.jp